海外ファンはアニメをどこで見てるのか。配信サービス事情を毎日コメント欄で見てる側から
Where the World Actually Watches Anime: A Streaming Field Guide
“Crunchyroll、完全に「うちのサービス契約してない? ほら、どうぞ楽しんで」ってノリだろこれ”
日本ではテレビをつければ深夜アニメが流れてる。じゃあ海外のファンは同じ作品をどうやって見てるのか。コメント欄を毎日読んでると、どこで見られるんだという質問と、うちの国では配信されてないという嘆きに、本当に毎日出くわす。見る前の段階にこれだけのドラマがあるのは海外ならではで。英語圏を中心とした配信サービス事情を、その嘆きの背景ごと解説する。
アニメを見る、の意味がまず違う
日本のアニメファンにとって、新作アニメはまだテレビで放送されるものという感覚が根強い。地上波の深夜枠で放送されて、見逃したら配信で追いかける順番だ。海外ではこの前提がほぼ逆転してる。日本のアニメが現地のテレビで放送されることは一部の人気作を除いてまれで、ほとんどのファンにとってアニメは最初から配信サービスで見るものなんだ。つまりどのサービスに加入してるかが、どの作品を見られるかをそのまま決める。とりあえずテレビで全部やってる、という日本の状況のほうが世界的には珍しいというのが、最初に押さえたいポイントで。
そして海外の新作視聴を支えてるのがサイマル配信だ。日本の放送とほぼ同時に字幕付きの正規配信が海外へ届く仕組みで、いまでは多くの新作がこの形で世界に同時に出ていく。日本の放送直後に海外のコメント欄が沸くのは、全部この仕組みのおかげ。詳しくは姉妹コラムのサイマル配信の舞台裏で書いたので、ここでは配信サービスの顔ぶれの話をする。
主要サービスの顔ぶれ。専門店と総合デパート
英語圏でまず名前が挙がるのが、アニメ専門の配信サービスとして知られるCrunchyrollだ。新作サイマルを数多く抱えていて、海外のアニメファンといえばまずここ、と言われることが多い。冒頭に掲げたのは、Crunchyrollが人気作の名場面を丸ごとYouTubeに公開したときのコメントで、いいね17196。専門店がファンの生活にどれだけ食い込んでるかは、この距離感の近さから伝わると思う。一方でNetflixやAmazonプライム・ビデオ、Hulu、Disney+みたいな総合型もアニメに力を入れていて、作品によっては総合型の独占配信になる。アニメ専門店と総合デパートが、作品ごとに配信権を分け合ってる構図だ。
どのサービスが一番いいかは一概に言えない。ラインナップは地域や時期で大きく変わるし、字幕吹き替えの充実度、料金、アプリの使い勝手と、重視するポイントも人それぞれで。コメント欄でも、結局どれに入ればいいのかという話題は定番中の定番だ。もはやそれ自体がひとつの文化になってる感すらある。
国が変われば、見られる作品が変わる
海外の配信事情を語るうえで欠かせないのが地域差だ。配信権は国や地域ごとに販売されるのが一般的だから、同じサービスでも国によってラインナップが違うし、ある国で見られる作品が隣の国では配信されてない、ということが普通に起こる。英語圏の中でもアメリカ、イギリス、オーストラリアで状況は少しずつ違うと言われてる。さらに東南アジアや南米では、英語圏とは別のサービスや、YouTube上での公式配信が使われることもある。海外とひとくくりにできないのが、この分野の難しくて面白いところで。うちの国では見られないという嘆きは、こういう権利の地図の上で毎日生まれてる。
ファンサブの時代から、公式配信へ
いまでこそ正規配信が当たり前だけど、かつての海外ファンには公式にアニメを見る手段がほとんど無かった。そこで生まれたのがファンサブという文化だ。有志のファンが自分たちで字幕を付けて作品を共有するもので、権利の面では大きな問題を抱えつつ、海外にアニメファンの土壌を育てた側面があったと語られることも多い。状況を変えたのが公式サイマル配信の広がりで、正規の方法で、放送とほぼ同時に、手頃な価格で見られる環境が整うにつれて、多くのファンが公式へ移っていった。非公式に始まったサービスが後に権利を取得して正規の配信事業に転換した例もあるとされていて、ファン文化と産業がせめぎ合いながら今の形にたどり着いたのが、海外配信の歴史の大きな流れだ。海外のベテランファンの昔話に、この時代の記憶は本当によく出てくる。
最大の悩みは、配信が分散しすぎ問題
公式配信が普及した今、海外ファンの最大の悩みは、見たい作品が複数のサービスにバラバラに散らばってることだと言われる。あるシーズンの話題作を全部追おうとすると複数サービスに同時加入するしかない。しかもラインナップは入れ替わるから、去年見られた作品が今年は見られないことも起こる。サービスによっては全話一括公開の方式を取ることもあって、その場合は日本の放送から遅れるぶん、リアルタイムの盛り上がりに乗れない不満につながる。この配信スケジュールへの怨嗟がどれだけ深いかは、Netflix配信のジョジョのコメント欄の一撃が物語ってる。
“ジョニィが這ってニューヨークまで行った方がNetflixより速い💔”
主人公が下半身不随のジョニィだからこそ成立する、愛と怨嗟の入り混じった名文だ。新作の放送が始まるたびに、この作品はどこで見られるのという質問がコメント欄に並ぶのは、海外ならではの風物詩と言っていい。
コメント欄は、配信事情の映し鏡
日本にいると意識しづらいけど、海外のファンはそもそもどうやって見るかという段階から、日本とは違うハードルと付き合ってる。それでも世界中で同じ作品がほぼ同時に語られるようになったのは、配信という仕組みが積み上げてきた大きな変化だ。当サイトのまとめにも、自分の国では配信されてない、どのサービスで見た、みたいな一言はしょっちゅう登場する。その一言の背景には、ここで書いた権利の地図と歴史が丸ごと乗っかってる。それを想像しながら読むと、海外の反応はもう一段立体的になるはずで。あと個人的には、どこで見られるんだと嘆いてた人に、別のファンが配信先を教えてあげてる返信を見つけると、ちょっといい気持ちになります。世界のどこかの親切は、コメント欄でも仕事してるので。
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